命の尊さについて

「命」を繋いだ、八代高専の二千羽鶴

平成17年7月6日、高専学生の交通事故が発生した。
高専の学生1人の「命」を助けたい想いは、我が子に想う親の気持ちと同じだった。意識不明の状態の中、数日間は様子を見ることになったが、何にも出来ず、手を拱いて見ているもどかしさに、何かみんなで出来る事はないか?と考えた。

そこで、高専後援会の役員の方々が各担任の先生方にお願いして、学生全員に1人2羽の折鶴を折ってもらうことにした。ここは流石の高専!PCの情報発信で一斉に周知された。まず折鶴の紙を庶務課に手配し、作成した鶴は保健室に準備した箱に入れてもらった。先生方にお願いした翌日、後援会で綴ろうと保健室を訪ねて驚いた。依頼して1日でなんと2千羽の折鶴が届いていた。保健室の反頭先生の協力のお蔭もあってか、保健室の机では沢山の学生達が大きな手で小さな紙を折っていた。鶴を綴っている時にも、「数十年ぶりに折りました。」と仰る宮川校長先生を始め、事務の方々の折られた鶴が次々と届く。中でも、大きな体で小さな鶴を2羽持ち、「これ、お願いします」と笑顔で届けてくれた学生さんの姿に、思わず涙がこぼれ落ちた。「命」が危ぶまれる時、一刻も早くみんなの気持ちを届けたくてお願いした企画。学校には許可も無く行動に移り、ご迷惑は覚悟の上のことと、その日のうちに綴り、病院に届けた。1週間もの間、高熱が続いていたらしいが、高専の皆様の鶴を届けた日に熱が下がりだしたという嬉しい情報に、八代高専の一人一人の「想い」が通じたと確信し、全員で彼の「命」を繋ぎとめることができた。

現在、彼は1ヶ月後にやっと意識を取り戻し、まだ入院中ではあるが、親子共々回復に向けてがんばっている。(8/8現在)突然のお願いに気持ちよく応え、協力いただいた先生方にただただ感謝し、高専の全ての方々の惻隠の情を誇りに思った。

八代高専のシラバスの中に記載されている教育目標に(G)社会性・協調性を身につけた技術者 G-2:グループでの活動に参加し、その中で協調して役割を果たせると掲げてあるが、八代高専の全ての学生は、目標を達成できると確信する。

折り鶴のイラスト

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